在宅介護と高齢者・家族のケア


高齢者介護とコミュニケーション~「聞く技術」を磨こう

介護保険の在宅サービスを利用して、週に数回ヘルパーさんの訪問を受け、その折に話す機会のあるような高齢者はまだ安心ですが、その一方で自宅に閉じこもり一日中誰とも会話しない一人暮らしの高齢者も増えてきています。


特に母親はすでに他界し、故郷で高齢の父親が一人暮らしをしているが近所付き合いなどもなかなか無いというような場合、その傾向はさらに強くなります。

それが高じて「うつ」を発症したり、悪化させたりする懸念もあります。


会話をすること、そして楽しい話題を共有して笑いあうことは、介護の現場に限らずとも脳の活性化に役立ちますし、日々の生活に彩りも添えてくれます。


高齢者にとっては、脳からのアウトプットを増やすことが脳の老化を防ぐ最良の手段ですが、なかでももっとも手軽に効果を期待できるのが「目の前に相手を置いた、直の会話」なのです。


共通の話題を見つけなくちゃ…と、なにも力む必要はありません。

人と人との会話として、血の通った温もりを時どきふっと感じることができるならば、上出来なのです。


ただし高齢者の神経を逆なでしたり、本人が嫌がるような話題は、当然避けなくてはなりません。

ごくたまに長い時間をとって話すよりは、短い時間でもよいので回数を増やして、会話のチャンスをこまめに持つ方がベターです。


会話というと、話し手と聞き手が同じ程度に話をしなければいけないように思う方もいるでしょうが、高齢者の介護の場で交わされる会話では、家族はなるべく聞き手の側に回るのがよいでしょう。


お互いが同じくらいの分量を話しあう「会話のキャッチボール」というよりも、高齢者の話を聞くことを中心にして、話の流れを妨げない程度に時おりあいづちを打っていくスタイルを基本にしたいものです。


聞くのが8割、話すのが2割」くらいを、大まかな目安にします。

目の前にいるお年寄りにとっての、よい聞き手となる」ことを、心の中で目指すのです。

家族側から話しかけるときには、はっきりした口調で少しゆっくりめに、ていねいに話すようにします。

過度に大声で話したりすると、人によっては威嚇されていると思うかもしれません。


昔の同じ思い出話を繰り返し話す高齢者も少なくありませんが、「その話はもう聞きました」とばかりに会話の流れをさえぎったり、訂正したりすることは避けましょう。

また程度の差はあるものの、一般に高齢になればなるほど、自分の身体の不調についての悩みやぐちなどが、どうしても増えてくるものです。


在宅介護でも活かしたい「声かけ」~会話こそが人生

介護における「声かけ」は、他人を相手にした単なる技術でもなければ、介護施設で働く人だけのものでもありません。


たとえ話しかける相手が気心の知れた家族でも、「声かけ」の基本をいくつか押さえておくことは、在宅介護をスムーズなものにしてくれます。

何でもわかっているつもりの家族だからといって、話をぞんざいに聞き流したり、話の内容を強く否定してよいわけではありません。家族であっても別の人格をもった一個人であることを、忘れないことです。


そもそも自立して生活を行えない、自分の介護で家族に負担をかけている…という自責の念から、すでに本人の気持ちが萎縮していることも多いものです。

声のかけ方ひとつで、本人が持つマイナスの感情を和らげることもできれば、逆に増幅させてしまう可能性もあります。


すでに外出もままならない状態なら、日々に交わす会話こそが本人にとって今を生きること、すなわち人生そのものです。

したがって「会話を充実させる」ことは、本人がよく生きることにつながると言ってもよいでしょう。会話のきっかけとなる「声かけ」が上手なら、その後に続くおしゃべりも、うまく流れにのせることができます。

それは、本人の気持ちを楽しませてくれます。あるいは慰めや心の平安がもたらされ、明日の一日を頑張って生きようとする気持ちにもつながるでしょう。


滞在時間が限られている介護ヘルパーとは異なり、家族なら長い時間、話を聴いてあげることができます。声かけの大切さを、日頃から意識しておきたいものですね。


高齢者のうつ病~家族の対応と気づき・治療の注意点

在宅での介護や高齢者の日々の生活において、家族が注意を払うべき病気のひとつに「うつ病」があります。


一般の皆様へ「うつ病って何?」(JCPTD委員会)


うつ病そのものの患者数は、10代からほぼ全世代に渡ってまんべんなく分布しているものの、実はうつ病の患者数がもっとも多いのが、いわゆる「後期高齢者世代(75歳以上)の女性」なのです。


長年連れ添ってきた配偶者に先立たれ、地域の親しい友人たちも病気がちでめったに会えない、そして櫛の歯がかけるように毎年誰かが亡くなっていく、そして子供たちは都会の会社勤めで年に1~2回しか戻ってこない・・・といった高齢女性の単身世帯は、潜在的にうつ病発症のリスクがかなり高いことに注意が必要です。


女性に限らず、年々新しいことに対しての気力が衰え、身体的機能や感覚が衰えて自宅に引きこもりがちな高齢男性もまた、うつ病になるリスクは決して低くありません。


もちろん、配偶者に先立たれた高齢者が皆うつ病や認知症になるわけではありません。

また認知症にはうつ病ときわめて似た症状を示すものもありますが、うつ病は認知症と異なり、精神療法や薬物療法によって治すことが可能です。


高齢者本人は通常、うつ病に対する知識をほとんど持ち合わせていませんので、家族や周囲の人間が本人の行動にふだんと違った何かを感じたときは、うつ病を(あるいは認知症を)疑い、精神科・神経内科の専門医に相談し、本人に適切な診察を受けさせることも必要です。


自殺既遂者の8~9割にはうつ病を含むなんらかの精神障害があるというデータもありますが、うつ病を原因とする高齢者の自殺も相当数にのぼると考えられています。

本人の症状の変化を見逃し、これを放置することは重大な結果につながる可能性があるため、家族としては予防的に行動していく必要があります。


しかし高齢者のうつ病では精神面よりも身体的症状を訴えることが多く、また高齢になるに従って感情の起伏が乏しくなりがちなこともあり、その変化を見逃しやすいと言われています。


ひとり暮らしの高齢者~心に寄り添う介護とは

65歳以上の高齢者のひとり暮らし(独居率)男性が全体の11.1%、女性が20.3%(2010年現在)と、男女ともに年々上昇しています。


遠くで働く子供にとっては、親が年老いていく中でひとり暮らしを続けていることには、漠然とした不安を覚えるものです。

親の心身が元気なうちにとばかりに、遠距離介護在宅介護の準備、あるいは介護施設選びなどをはじめている方も、少なくないことでしょう。

「遠距離介護」、介護施設選びのポイント。


さて「高齢者のひとり暮らし」については、注目すべき一つの事実があります。「老後はひとり暮らしが幸せ(辻川 覚志 著、水曜社)」という、2013年に500名弱の60歳以上の独居・同居者を対象に行ったアンケートの調査結果をまとめた本があります。

(ちなみに2016年には本作の続編として、「続・老後はひとり暮らしが幸せ 同居より満足なのはなぜ?」も出版されています。)


同書ではアンケートで寄せられた多くの声を引用しつつ、『満足のいく老後の姿を追いかけたら、結論は、なんと独居に行き着いた(208頁)』として『ひとり暮らしがもっとも現実的で、理想の姿であり、もっとも幸せに近い(はじめに)』と、驚くべき総括をしているのです。


しかも「男性と女性で満足度には差がなく(18頁)』、近くに子がいる場合でも遠方にいる場合でも『すべて満足度には大きな差が認められませんでした(27頁)』とのことです。加えて『健康状態が悪くなってきても、ひとり暮らしは、なかなか満足度が悪くなりにくい(41頁)』とも述べられています(引用ここまで)。


家族の側からすると「ひとり暮らしの高齢者はさぞ寂しかろう」などとつい思いがちなものですが、実は本人からすると「生活の自由度の高さ」が、精神的な満足感を得るのに大きな役割を果たしていることが見て取れます。


本人の性格やこれまでの生活スタイルの影響は、もちろんあるでしょう。

「誰かといっしょにいなければ、寂しくて耐えられない」と日頃からこぼしているような人は、ひとり暮らしによる環境の変化が負担になり得るでしょうし、簡単な掃除や薬の管理が自分でできないような人も、在宅での療養生活を続けるのは難しいでしょう。


寝たきりでほぼ24時間の介護が必要な方が自宅で療養生活を続けることはやはり難しく、施設介護を検討しなければならないでしょう。

病状の個人差から一概に言えないことはもちろん、本人の最期の瞬間まで、関係者が在宅介護を続けられる環境にあるかどうかも関わってきます。


高齢者の住まいの見直し~在宅介護がし易い居住環境をつくる

高齢者が長年住んできた自宅での介護生活がいよいよ現実になりそうなとき、住み慣れたその家が、身体的機能が衰えてきた本人そして介護する家族にとっても、安全で機能的なつくりになっているかどうか一度チェックしておきたいものです。

たとえば数十年前に建てられた地方の古い一軒家に親が住んでおり、そこがそのまま介護の現場になりそうな場合を想定してみましょう。


「家族による在宅介護」などは建築時において想定すらしていなかったはずで、在来工法による和風家屋のつくりも、畳の寸法が全体設計のベースとなっているはずです。

これまで本人が布団を上げ下げして寝ていた四畳半や六畳間に大きな介護ベッドを入れたうえ、介護者がそこから本人を抱え起こしたり、あるいは車いすに乗せたりといった動作をスムーズに行うことが、現状のままで果たして可能でしょうか。

(介助については、在宅介護における動作介助~家族が知っておきたい基本 もあわせご参照ください。)


介護の動作に慣れたホームヘルパーならまだしも、高齢の配偶者や中高年の子供が狭いスペースに四苦八苦しながら行うようでは、毎日のそのような動作の繰り返しだけで、介護者は疲れが積み重なってくたびれ果ててしまうことでしょう。


長年住んでいる間に、もはや使いそうもない置物や家具などが部屋の隅を占領している場合には、それらも片づけなければ、介護する側の動作を大いに邪魔しそうです。


トイレや階段に手すりをつけたり、風呂場に転倒防止のマットを敷くことなどは、誰でも割と気がつきやすいものです。

しかし、たとえば車いすの生活となった場合などに、病院や介護施設までの往復時の車の乗降のしやすさ、あるいは玄関から居室・リビングから寝室にいたる様々な「生活上の導線」をいかにスムーズなものにするか、さらに介護者が本人と一緒に出入りした場合のスペースの確保が十分か、などの点にはなかなか想像が及ばないため、対応は後手に回りがちです。


在宅医療と在宅介護の関係~現状と問題点

在宅介護においては、高齢者が何らかの病気の治療を受けながら、同時に家族の介護を受けているのが普通のはずです。

そして、本人の状態や体調が悪化したときはあわてて病院へ連れていく…ということになりがちですが、医師に自宅に診察にきてもらう「在宅医療」については、どれくらいご存知でしょうか。


国が「在宅医療の推進」に力をいれているにもかかわらず、在宅介護に追われる家族の多くはその中身をよく知らないというのが、どうも現状のようです。


「在宅医療」とは、通院が困難な患者の自宅に医師が訪問して、医療サービスを提供するものです。

在宅医療は、医師が計画的に訪問して医療を行う「訪問診療」と、臨時に医療サービスを提供する「往診」の二種類があります。


一般的には、動けない患者の状態が悪化したときだけ急いでお医者さんを自宅に呼ぶようなイメージが強いですが、これは「往診」で、「訪問診療」と区別されています(医療保険の診療報酬点数が違ってきます)。

これからの在宅医療については、あらかじめ「月4回、毎週×曜日」のように往診する日を決めて行う「訪問診療のシステムそのもの」と、「そこで提供される医療の質」を中心に、考えていく必要があります。


もちろん、緊急の手術や集中的な治療が必要なレベルの人の場合、病院での医療が必要かつ優先されることは当然です。


今日の日本では、専門設備の整った病院で治療することで、はじめて高水準の医療が受けられるようになっていますから、治療レベルの絶対的水準という点では、現在の在宅医療は病院治療にとうてい及ぶものではありません。


しかし在宅医療の目的は、少し別のところにあります。

寝たきりであるが病状が安定しかつ進行がゆるやかで、医療の緊急性よりも介護がベースになっている場合、あるいは本人が入院を望まず「自宅で治療を受けたい」と希望するような場合は、在宅医療のほうが適しているはずです。


入院治療は病気そのものの治療に最適であっても、家族との交流や生活の快適さなど本人の生活の質を損なうような、ある種の犠牲の上に成り立っています。


平成21年度の内閣府調査では、「自宅で人生の最期を迎えたい」と希望する人が、全体の54.6%に上りました。

医療的な処置が終わった後の長期間の入院が基本的に難しく、また介護施設への入所も長期間の順番待ちを余儀なくされるいま、「できるものなら、住み慣れた自宅で治療を続けたい」ということへの潜在的ニーズは、相当あるようです。


このような本人の希望と意思を尊重するならば、患者側が今よりもっと在宅医療を選びやすい状況を社会的に整えていくことが、必要なはずです。


また国も、在宅医療の拡充に力を入れています。

上で述べたような背景もありますが、病院入院の長期化による医療費の増大・財政の圧迫という点から見れば、在宅医療の場合は病院の入院基本料や差額ベッド代などもかからないため、医療費が大幅に少なくて済むからです(もちろん患者側にとっても、入院治療に比べて、一般的に自己負担額もぐっと少なくなります)。


高齢者の誤嚥性肺炎と、介護食における心遣い

高齢者の在宅介護において注意すべき病状のひとつに、「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」があります。


食べ物を飲み込むことを「嚥下(えんげ)」と言いますが、この嚥下がうまくできずに、食べ物が誤って気管に入ってしまうのが「誤嚥(ごえん)」です。

誤嚥(ごえん)で肺に異物が入り、それが原因で起きる肺炎が誤嚥性肺炎なのです。


肺炎は、日本人の死亡原因の第4位(心疾患・がん・脳血管疾患に次ぐ)になっていますが、高齢者においては、風邪をこじらせたりして発症する通常の肺炎以外にこの「誤嚥性肺炎」が原因の半数以上を占めていると言われ、まさに”命にかかわる”病気です。


食べ物を噛む力が弱まったり、飲み込みが悪くなったりすると、誤嚥性肺炎が起こりやすくなります。


食べ物は「口腔」→「喉頭」→「食道」と移動していきますが、健常な人ならば食べ物を飲み込むときに肺に向かう気管のふた(喉頭蓋)が閉まって、肺に食べ物が入らないように調節してくれます。

しかし老化などで喉頭蓋の機能が弱まり、ふたがきちんとしまらないと、食べ物は気管を経由して肺に侵入してしまいます。


また、異物が入ったときは咳き込むことで、異物を気管の外に出そうとする反射運動が起こりますが、高齢になるとこの反射機能も弱まってくるため、気管の中にとどまった食物や、そこに含まれる唾液から肺に細菌が感染し、肺炎を起こす可能性が高まります。


この嚥下機能の低下は、脳梗塞など脳血管疾患障害を抱える方や、食道や胃を手術した後に起こりやすいと言われます。


在宅介護で食事の用意をする家族は、この「誤嚥性肺炎」について、ある程度の知識を持っておく必要があります。

自宅で食事を出す場合は、食べ物の大きさやかたまりに注意し、食べやすくするための工夫が必要になります。


本人の運動機能を活かした介護ケアとは


国が施策として在宅介護・在宅医療を押し進める中で、介護する家族を抱えるひとつひとつの家族に目を向けてみると、在宅での介護・医療に関する基本的な知識やノウハウの普及は、残念ながらまだまだ貧弱な状況です。


たとえば、介助者の都合だけを考えて電動の介護ベッドを購入してみたり、本人をベッドから起こすときや立ち上がりを介助するときに楽なよう力まかせに引っ張ってみたり、食事は本人にいっさいの動作をさせずに介助者がただスプーンを口に運ぶだけ、といったことは、在宅介護の現場においてごく日常的風景なのではないでしょうか。


どうしてもかつて本人が元気だった頃のイメージに引きずられて、「これくらいならきっと我慢できるだろう」「それほど影響はないだろう」と、一つ一つの動作をつい軽く考えてしまいがちです。


しかし、高齢者の平均寿命が伸び超高齢社会が定着した現在であっても、年齢が進むにつれ身体能力は着実に衰え、それに伴う精神面での変化も生じてくることは、厳然たる事実なのです。

研究によれば、一般に高齢者にはまず「歩行能力の衰え」が現れ、次に「排泄」と「食事」の面における障害があらわれるそうです。


たとえば、一般人の平均的な歩行スピードは分速80メートルですが、これが75歳の女性となると分速60メートルに低下します。歳を重ね歩行スピードが遅くなるほどに転倒も起きやすくなり、日常生活の動作に支障が生じやすくなります。

加えて、万一の転倒による骨折で3~4週間程度寝たきりが続いた場合、筋力が5割近く低下するもと言われます。日々の在宅介護において、「高齢期の運動機能の維持・廃用症候群の回避」がいかに大切か、わかりますね。


たとえ一日わずか数分の運動であっても、やっただけの効果は出ると言われます。日々の生活で本人が運動する機会を少しでも持てるように、家族も意識したいものです。


在宅介護生活で日々の習慣にしたい、いくつかのこと

介護者が習慣化することにより長丁場の在宅介護にプラスにはたらくであろう、ちょっとした気づきのいくつかを以下にまとめておきます。


1. 介護日記(記録)をつけよう


ノートを一冊用意して、医師やケアマネジャーの話・本人が今日話したこと・今日一日に起きた嬉しかったことなど、日々の介護生活で起きたことについて、とにかくメモをとることを習慣化しましょう。

メモは、後々に記憶をよみがえらせるための助けになります。


起床や就寝の時間・食事内容・体調や体重の記録・外出の有無などといった起こった出来事の備忘録で構いませんが、自宅介護を続けるなかで自分の感じたことや気づいた点も含め、断片的なぶつ切りの文章による覚え書き・短い走り書き程度で構いません。

書く内容や量よりも、毎日書き続けることのほうがよほど難しくもあり、大事なことでもあります。

「誰かに見せるものでもない」と割り切れば、長くきれいな日記風の文章は、むしろ邪魔になります。

自分自身で後で読めさえすればよい、思い出す取っかかりになりさえすればよいものと割りきって、気楽な気持ちで介護日記をつけはじめましょう。


2. 週に1~2回は、体重をはかろう


「体重は健康のバロメーター」と言われますが、これは介護を受けていても当てはまることです。とりわけ高齢者の「体重の目立った減少」は、見過ごせない健康上の赤信号と捉えるべきです。

夏の暑い時期には要介護者の体重は減り気味に、逆に運動不足の続く冬には体重は増加してきます。


季節に関わらず体重の減少が続く時は、食事内容や口内の状態に問題があるかもしれませんし、あるいは何か別の病気のサインかもしれません。

上述の介護記録ノートに本人の体重の変化も記録しておき、大きな体重の増減が見られるなど心配なときは早めに、近くの医療機関などに相談するようにしましょう。


3. 薬シート(服薬カレンダー)を活用しよう


薬の服用は日々求められることも多いので、飲み忘れがあったかどうかが、どうしても気になりますね。

壁にかけるカレンダー式の「薬シート(服薬カレンダー)」がありますので、一週間分をあらかじめ入れておき、服用したら空になったらビニールの薬袋をポケットに入れておくようにすると、飲み忘れを防ぐことができます。


褥瘡(じょくそう)と予防~施設より高い、在宅介護での発生率

介護中の高齢者は免疫機能が弱っていることから、さまざまな感染症にかかりやすくなっています。褥瘡(じょくそう)からの感染による発熱も、少なくありません。

在宅介護をする側としては、誤嚥性肺炎や室内での転倒、運動機能の低下による廃用症候群などと共に、褥瘡についての基本的な知識を持っておく必要があります。


褥瘡とは、身体の一部が持続的に圧迫され血行がさえぎられることで酸素や栄養が行き渡らなくなって、皮膚が虚血性の壊死を起こした状態のことです。

褥瘡はその深達度によって、いくつか専門的な分類が成されています。

発赤や水疱ができる初期の段階を通り越すと、脂肪層や筋肉・骨組織まで創傷が進行する、重度なステージへと移行します。


長期間寝たきりの人の1~2割に褥瘡が起きると言われ、在宅で介護する場合の発生率は、体位変換などのケアを継続的に受けられる病院や介護施設に比べ3倍近い、との報告もあります。


一般に高齢者の皮膚組織は、加齢による乾燥や紫外線による光老化などのため、ウィルスなど外部からの異物に対する抵抗力が衰えているだけでなく、症状の悪化が進みやすくなっています。


一見してわかるほどに褥瘡が悪化するまでには時間を要しますが、その一方で、症状が比較的早く生じやすいことも覚えておく必要があります。

たとえば、単純に寝返りができないために圧迫が持続して血流がとどこおり、皮膚の赤みが引かない状況(発赤)になったときは、すでに初期の褥瘡とされます。


褥瘡ができると痛みを感ずるだけでなく、皮膚組織の崩れから生じた滲出液によって体内から栄養素が流出し、低栄養状態を招きやすくなります。

さらに悪化した場合は、皮膚にとどまらず骨や関節に及ぶおそれもあり、局所感染による敗血症を引き起こすなど、最悪の場合は生死に関わるおそれもあります。


デイサービス・デイケア・ショートステイ~概要と現状

在宅介護を受けているらしき高齢のご近所さんが、送迎をサービスする職員に付き添われつつ介護事業所のロゴが入ったバンに乗り、早朝から出かける姿は最近多く見かけますね。


ここでは在宅で介護する家族にとって欠かせない「デイサービスデイケア)」と「ショートステイ」の概要についてご説明します。


まず「デイサービス」ですが、これは「通所介護」とも呼ばれる、在宅向けの介護サービスの一つです。


在宅介護サービスにはいろいろありますが、最もイメージしやすいのはヘルパーさんに自宅に来てもらって掃除・調理・洗濯・買い物・入浴介助などのサービスを受ける、いわゆる「訪問介護(ホームヘルプ)」サービスですね。

在宅介護と介護保険のサービス~外部の力を上手に活用


そして在宅介護に欠かせないもう一つのサービスが、この「デイサービス(通所介護)」です。


早朝から施設で高齢者を預かり、昼食・入浴・簡単なリハビリ・レクリエーションなどのサービスの後に夕方に自宅に送り届ける、日帰りの施設サービスです。もちろん、介護保険の給付対象サービスです。

自宅に閉じこもりがちな本人の気分転換と身体機能の回復、外の社会と触れ合うことによる生活のメリハリづけ、といった目的があります。

在宅で介護に追われる家族が、施設に預かってもらえる間は自分のための時間を取り戻せる、「家族の負担軽減」効果も見逃せません。

家族の在宅介護上の負担と、その減らし方


デイケア(通所リハビリテーション)」も、介護保険が適用される通所型サービスです。

「デイサービスよりもリハビリに特化したサービス」と考えておけばよいのですが、通常はデイサービスでもリハビリを行うので、利用者はそれほど大きな違いを感じないかもしれません。

施設側に一定のスペースや器具設備、機能訓練指導員や医師の配置が必要になるため、「通所リハビリテーション計画」に基づいた計画的なリハビリが行われます。


「デイサービス」「デイケア」は、現在は都市部を中心に、やや供給過剰気味になっています。事業者にとっても一定の需要が見込める割に初期投資が少なくて済み、参入しやすい分野であるからです。


お泊りデイを使う前に~その背景と問題点

在宅介護中の家族の負担を和らげるべく、介護施設に短期間入所してもらって介護サービスを受ける「ショートステイ」は、全国的に不足しているのみならず、予約も非常に取りにくい状況となっています。

デイサービス・デイケア・ショートステイ~概要と現状

その合間を縫うように発達し、全国的に広がったのが「お泊りデイ(サービス)」です。


これは堅苦しく言えば「通所介護事業所における指定の通所介護(デイサービス)・通所リハビリ(デイケア)以外の、夜間・深夜サービス」となります。

元々は介護保険サービスの一つであるデイサービス(通所介護)の事業者が、いろいろな家庭の事情を汲んで、利用者と個別に契約をし、一定の利用料を徴収しデイサービスの利用時間外の施設への宿泊を認めるという宿泊サービスでした。


お泊りデイは「介護保険対象外」のサービスで、宿泊費用は利用者側の全額負担となります。

成り立ちとしては、あくまでデイサービスに付随した措置であり、事故や急病等でどうしても家に戻れない時のみに行われた、いわば緊急避難的な配慮だったわけです。

通所介護事業所と、「お泊りデイ」のこれから。


ところが特養入所の順番待ちが長期化する家族等の需要が引きも切らないこともあり、ズルズルと数ヶ月~年単位でお泊りを続ける高齢者が、全国的に増えていることが問題視されています。


潜在的な需要、そして空き家などを使って初期投資を安く上げれば利益を出しやすい構造に目をつけた事業者の参入が相次ぎ、もともとは例外的措置だったはずのお泊りデイを中心に据えて全国展開する企業すら、出てきています。


宿泊を想定していない施設にずっと寝泊まりしているわけですから、たとえば施設の防火対策や居住者の感染症対策などは、必ずしも配慮されていないのが現状です。

低所得者層をターゲットにしているところが多く、一日わずか1,000~3,000円程度の利用料で、提供される食事やサービスの質・夜間宿泊の安全性がどこまで保たれているか等を不安視する声も少なくありません。



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