ひとり暮らしの高齢者~心に寄り添う介護とは


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65歳以上の高齢者のひとり暮らし(独居率)男性が全体の11.1%、女性が20.3%(2010年現在)と、男女ともに年々上昇しています。


遠くで働く子供にとっては、親が年老いていく中でひとり暮らしを続けていることには、漠然とした不安を覚えるものです。

親の心身が元気なうちにとばかりに、遠距離介護在宅介護の準備、あるいは介護施設選びなどをはじめている方も、少なくないことでしょう。

「遠距離介護」、介護施設選びのポイント。


さて「高齢者のひとり暮らし」については、注目すべき一つの事実があります。「老後はひとり暮らしが幸せ(辻川 覚志 著、水曜社)」という、2013年に500名弱の60歳以上の独居・同居者を対象に行ったアンケートの調査結果をまとめた本があります。

(ちなみに2016年には本作の続編として、「続・老後はひとり暮らしが幸せ 同居より満足なのはなぜ?」も出版されています。)


同書ではアンケートで寄せられた多くの声を引用しつつ、『満足のいく老後の姿を追いかけたら、結論は、なんと独居に行き着いた(208頁)』として『ひとり暮らしがもっとも現実的で、理想の姿であり、もっとも幸せに近い(はじめに)』と、驚くべき総括をしているのです。


しかも「男性と女性で満足度には差がなく(18頁)』、近くに子がいる場合でも遠方にいる場合でも『すべて満足度には大きな差が認められませんでした(27頁)』とのことです。加えて『健康状態が悪くなってきても、ひとり暮らしは、なかなか満足度が悪くなりにくい(41頁)』とも述べられています(引用ここまで)。


家族の側からすると「ひとり暮らしの高齢者はさぞ寂しかろう」などとつい思いがちなものですが、実は本人からすると「生活の自由度の高さ」が、精神的な満足感を得るのに大きな役割を果たしていることが見て取れます。


本人の性格やこれまでの生活スタイルの影響は、もちろんあるでしょう。

「誰かといっしょにいなければ、寂しくて耐えられない」と日頃からこぼしているような人は、ひとり暮らしによる環境の変化が負担になり得るでしょうし、簡単な掃除や薬の管理が自分でできないような人も、在宅での療養生活を続けるのは難しいでしょう。


寝たきりでほぼ24時間の介護が必要な方が自宅で療養生活を続けることはやはり難しく、施設介護を検討しなければならないでしょう。

病状の個人差から一概に言えないことはもちろん、本人の最期の瞬間まで、関係者が在宅介護を続けられる環境にあるかどうかも関わってきます。


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しかしそうであっても、それらが本人の気持ちを外から強く抑えつけてよい理由にはなりません。


介護施設等に入所した後は、「施設のルールに縛られる毎日」が待っています。食事・運動・入浴、レクリエーションから消灯時間にいたるまで、施設のスケジュールに自分をあわせていかなくてはなりません。

日常生活上の動作がままならず全面的な介護が必要な状態ならばともかく、それまでほぼ自立した生活をおくってきた方が、ある日を境に施設介護の生活に移った場合、精神的なつらさを感じるのは避けがたいことでしょう。


特に認知症では、脳以外は身体的・器質的に健康なことも多く、多少の介助を頼りにひとり暮らしを続けている人も全国的にかなりいると思われます。

65歳以上の高齢者の認知症有病率は判然としませんが、9.5%という国の推計値(平成22年時点)があります。全国のひとり暮らしの高齢者は約500万世帯なので、単純計算でその1割弱程度が認知症を患っている可能性も否定できません。


軽度認知症の方に限らず、体が思うように動かせない要介護4以上の方であっても、さまざまな理由から自宅で介護を受けている方が多いことも、また現実なのです。


本人の生命や身体的機能の維持だけを考えるなら、常に人の目が行き届く病院や介護施設のほうが、確かに安心でしょう。

しかし、「本人のこころの問題」はどうでしょう。


内閣府の「高齢社会白書」によれば、介護を受けたい場所は「自宅」が男女とも最も多く、次が介護老人福祉施設(特養)や病院となっています。

高齢者の健康・福祉-平成26年版高齢社会白書(概要版)(内閣府)


また治る見込みのない病気になった場合、どこで最期を迎えたいかという問いに対しても「自宅」という回答が50%以上で圧倒的になっています。

60歳以上の高齢者のほぼ9割が「現状の住居に満足している」との回答もあります。


介護を受けている当人の本当の意思は、たとえ家族であっても、外からはなかなか測りにくいものです。

それでも「お金が無い結果、強いられている在宅介護」でなく、「本人がもっとも質の高い生活をおくる手段を探した末にたどり着いた、在宅介護」を目指すことが、本人と家族の双方にとっての満足度が一番高いのではないでしょうか。

その根本さえブレないようにしておけば、あとは日々の在宅介護で生じる障害や問題をどう解決していくかという、具体策の話になってきます。


もちろん「言うは易く、行なうは難し」でしょう。

それでも、本人の気持ちを最優先しようとする「思い」だけは、家族として常に忘れないようにしたいものですね。


次の記事は「高齢者の住まいの見直し~在宅介護がし易い居住環境をつくる」です。

ひとつ前の記事は「高齢者のうつ病~家族の対応と気づき・治療の注意点」です。


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