お泊りデイを使う前に~その背景と問題点


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在宅介護中の家族の負担を和らげるべく、介護施設に短期間入所してもらって介護サービスを受ける「ショートステイ」は、全国的に不足しているのみならず、予約も非常に取りにくい状況となっています。

デイサービス・デイケア・ショートステイ~概要と現状

その合間を縫うように発達し、全国的に広がったのが「お泊りデイ(サービス)」です。


これは堅苦しく言えば「通所介護事業所における指定の通所介護(デイサービス)・通所リハビリ(デイケア)以外の、夜間・深夜サービス」となります。

元々は介護保険サービスの一つであるデイサービス(通所介護)の事業者が、いろいろな家庭の事情を汲んで、利用者と個別に契約をし、一定の利用料を徴収しデイサービスの利用時間外の施設への宿泊を認めるという宿泊サービスでした。


お泊りデイは「介護保険対象外」のサービスで、宿泊費用は利用者側の全額負担となります。

成り立ちとしては、あくまでデイサービスに付随した措置であり、事故や急病等でどうしても家に戻れない時のみに行われた、いわば緊急避難的な配慮だったわけです。

通所介護事業所と、「お泊りデイ」のこれから。


ところが特養入所の順番待ちが長期化する家族等の需要が引きも切らないこともあり、ズルズルと数ヶ月~年単位でお泊りを続ける高齢者が、全国的に増えていることが問題視されています。


潜在的な需要、そして空き家などを使って初期投資を安く上げれば利益を出しやすい構造に目をつけた事業者の参入が相次ぎ、もともとは例外的措置だったはずのお泊りデイを中心に据えて全国展開する企業すら、出てきています。


宿泊を想定していない施設にずっと寝泊まりしているわけですから、たとえば施設の防火対策や居住者の感染症対策などは、必ずしも配慮されていないのが現状です。

低所得者層をターゲットにしているところが多く、一日わずか1,000~3,000円程度の利用料で、提供される食事やサービスの質・夜間宿泊の安全性がどこまで保たれているか等を不安視する声も少なくありません。


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お泊りデイは介護保険サービスではないため、国や自治体の規制・監督が及ばない点も問題です。

国は2015年4月から「介護職員や看護職員の1人以上の常駐」「宿泊期間が連続で2週間以上とならないこと」等を定めたガイドラインを策定しました。


あわせて都道府県への一定の報告義務も課していますが、罰則が無いことから、その実効性が疑問視されているところです。

【PDF】(通達)指定通所介護事業所等の設備を利用し夜間及び深夜に指定通所介護等以外のサービスを提供する場合の事業の人員、設備及び運営に関する指針について(厚生労働省)


しかしながら難しいのは、根強い需要があるからこそ、今日これほどまでにお泊りデイが普及しているという現実です。在宅介護を続ける中ではやむを得ず本人を急いで施設に預けざるを得ない状況も、幾度か出てくるものです。

本来ならショートステイを使いたいところでも、予約がとれなかったり明日明後日の急な話で間に合わないといった事態は、十分あり得ることです。


もちろんすべてのお泊りデイに問題があるわけではなく、良心的なサービス提供に徹する事業者も、少なくありません。

このような受け皿が全く無くなってしまうと、家族が疲弊してしまい在宅介護が現実に立ち行かなくなるケースも、当然出てくることでしょう。

行政が強い規制措置を取りづらい背景は、この点にもあるわけです。

お泊りデイは国としても利用者家族としてもバランスの取り方の難しい、介護に関わる今日的問題となっているのです。


家族としてお泊りデイを使わざるを得ない場合は、上記のような問題点を抱えたサービスであることを踏まえた上で、施設の評判など事前の情報を集めつつ、最低限の利用に留めるようにしたいものです。


次の記事は「在宅介護のメリット~「施設介護の裏返し」から考える自立心」です。

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