在宅介護のメリット~「施設介護の裏返し」から考える自立心


スポンサーリンク

在宅でご家族の介護をしている中、「施設に入るお金さえあれば、もっとよい介護が実現できるのに…」と内心思っている方も、少なくないことでしょう。


ただし施設介護を望んでいるのはほとんど「介護を行う側」で、介護を受ける当人は、「住み慣れた自宅で、最期まで暮らしたい」と考えているようです。

本人が介護施設に入る意思を見せているケースでは、やはり「家族に迷惑をかけたくない」という思いが、その根底にあります。

内閣府の調査でも、介護してほしい場所は「自宅」が3~4割、最後を迎えたい場所としても「自宅」が5割以上と、共に最も高い回答になっています。

【PDF】高齢化の状況-平成26年版高齢社会白書(内閣府)


ここでは施設介護との比較を交えながら、普段はなかなか気づきにくい「在宅介護のメリット」について考察します。


もちろん前提として、「本人が現在、どのような要介護状態にあるか」によっても、話は大きく変わってきます。

介護する家族の身体的疲労がもっとも強くなるケース、たとえば認知症で徘徊の頻度が高い場合は、近隣に迷惑もかかって一日中見守るのも難しいため、「介護施設への入所」という選択が最優先になるでしょう。


しかし多少のもの忘れはあるものの、身体は割にしっかりしていて、食事を摂ることとトイレに行くことは、不自由ながらなんとか一人でできる

現在このような状態ならば、あわてて介護施設に入れるのはかえって、本人の心身の衰弱をすすめる恐れもあります。


介護施設では24時間体制の見守りこそあるものの、一日の生活スケジュールが固定されているため、本人の自立心と運動機能の衰えを、結果的に促してしまうおそれがあります。

施設での人間関係がうまくいかなかったり、入居後にケアマネジャーや病院の変更を施設から迫られたりすると、本人が強いストレスにさらされる可能性も出てきます。


施設における見守りも、「いざ緊急事態」となった際、心もとない面があることは否めません。

特に深夜の時間帯などは、担当の介護職員が1~2人のみ、万一の際は担当看護師に電話連絡したり、救急車を呼んで夜間対応の急性期病院へ運ぶだけ…という施設のほうが、現状では多数派でしょう。


それならば在宅でも、「万一の際の通報→かかりつけ医・救急車につなげる、導線のしっかりした見守りシステム」にお金をかけるやり方と、さほど違いがないのではないでしょうか。


スポンサーリンク

食事の栄養不足や偏りが心配ならば、管理栄養士の監修による配食サービスなども利用できます。

介護保険の住宅改修費等に多少の自己負担をプラスして、要介護者本人のみのニーズに応じたベッド~リビング・トイレ~玄関への導線づくりや、バリアフリーへの対応を試みることもできます。

在宅介護のための住宅~生活動線と、要介護者本人の目線から
介護保険制度における住宅改修、利用にあたってのポイント


訪問入浴サービスやデイ・サービスのレクリエーションのメニューも、施設に入居しない前提で費用計画を立てるなら、ケアマネジャーと相談してもっと質を高めることができるのではないでしょうか。

ボランティアや民間NPOの在宅向けサービス等も、介護保険の利用限度額に多少の出費を上乗せして、追加できるのではないでしょうか。

家族の在宅介護上の負担と、その減らし方


確かに現状よりは確実に、追加出費が生じる話ではあります。

しかし介護施設に入所した場合、トータルでそれ以上の金額に達することもまた確実ですし、それ以下の金額の許容範囲内で在宅介護のインフラを充実させる選択は、少なくとも検討に値するはずです。


社会学者の上野千鶴子氏は、その著書「おひとりさまの最期(朝日新聞出版)」の中で、

「何よりわざわざ持ち家から出て賃貸住宅の家賃を払うのは本末転倒です。(73頁)」
「病院にいても施設にいても、看護師や職員が数時間おきに見まわりに来てくれる程度。傍らに来ても、せいぜい5分程度共にいてくれるくらいです。ナースコールを押して5分以内に駆けつけてくれるのが病院なら、15分待てばよいのが訪問看護、と考えればよいのです。(96頁。引用終わり)」

と、述べています。

特に「介護にかかるコスト」に関しては、こういった発想の転換も必要ではないでしょうか。


もちろん在宅介護を続ける家族の事情には、ひとつとして同じケースは無く、一律に適用できるノウハウもありません。

検討の末に「やはり施設介護しかない」と判断したのなら、本人のために少しでも良い介護施設を見つけることに、力を注ぐべきでしょう。

介護施設の入所、いつ・どう準備するか。
認知症、介護施設への入所時期と注意点。


しかし在宅医療では、絶対的に介護・医療が必要になる時期は、日常家事動作(Activities of Daily Living[ADL]と言われます)が大きく低下し、ほぼ完全に寝たきりとなってそれまで一人で出来たことが出来なくなってから、とされています。


いわゆる終末期・最期の数週間前くらいのタイミングで、家族や関係者がつきっきりで看護する体制を準備して築けるならば、本人の希望する「在宅での看取り」も可能になってきます。

そのようなADLの低下が起きるまでは、在宅の介護環境を最大限に整え、要介護者本人の生きる意志を大切にしながら、自分のことはできる限り自分でやってもらうことになります。


本人の自立心を大切にしながらも、誰かしらが目を離さない体制」を、なんとか工夫して、在宅のまま作り上げてみる。

介護施設への入居金や月額賃料にお金を投じる前に、在宅介護の状況をいま一度、見直してみてはいかがでしょうか。


ひとつ前の記事は「お泊りデイを使う前に~その背景と問題点」です。


 すべての記事は⇒こちらから

スポンサーリンク

カテゴリ

本サイトの情報提供について

本サイト「在宅介護~高齢者の心身と家族の気づき」は、在宅介護に関わる情報のご提供が目的です。あくまで、これらに関わる広範な一般的知識と情報提供を行うことを趣旨としており、またこれらの情報提供行為により、何らの責任を負うものではありません。本サイトに登場する関連情報につきましては、ご自身の判断のもとご使用・ご利用いただくようお願いいたします。

プライバシーポリシー

本サイト内には、第三者配信(広告配信事業者としてのGoogle)による広告配信において「Webビーコン」「cookie(クッキー)」と呼ばれる技術を使用しているページがあります。Webビーコンは特定のページに何回のアクセスがなされたかを知るための技術であり、またクッキーはサイト利用者がウェブサイトを訪れた際にサイト利用者のコンピューター内に記録される小さなファイルです。このような広告配信事業者は、ユーザーの興味に基づく商品やサービスの広告を表示するため、当サイトや他サイトへのアクセスに関する情報を使用することがあります。但し記録される情報には、皆様の氏名やEメールアドレスや電話番号や住所などの、個人を特定する情報は含まれません。クッキーは皆様のブラウザを識別することはできますが、皆様自身を識別することはできません。クッキーを受け入れたくない場合は、使用しないよう拒否設定することが可能です。このプロセスの詳細やこのような情報が広告配信事業者に使用されないようにする方法についてはこちらをクリックしてください。

TOPPAGE  TOP