高齢者の誤嚥性肺炎と、介護食における心遣い


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高齢者の在宅介護において注意すべき病状のひとつに、「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」があります。


食べ物を飲み込むことを「嚥下(えんげ)」と言いますが、この嚥下がうまくできずに、食べ物が誤って気管に入ってしまうのが「誤嚥(ごえん)」です。

誤嚥(ごえん)で肺に異物が入り、それが原因で起きる肺炎が誤嚥性肺炎なのです。


肺炎は、日本人の死亡原因の第4位(心疾患・がん・脳血管疾患に次ぐ)になっていますが、高齢者においては、風邪をこじらせたりして発症する通常の肺炎以外にこの「誤嚥性肺炎」が原因の半数以上を占めていると言われ、まさに”命にかかわる”病気です。


食べ物を噛む力が弱まったり、飲み込みが悪くなったりすると、誤嚥性肺炎が起こりやすくなります。


食べ物は「口腔」→「喉頭」→「食道」と移動していきますが、健常な人ならば食べ物を飲み込むときに肺に向かう気管のふた(喉頭蓋)が閉まって、肺に食べ物が入らないように調節してくれます。

しかし老化などで喉頭蓋の機能が弱まり、ふたがきちんとしまらないと、食べ物は気管を経由して肺に侵入してしまいます。


また、異物が入ったときは咳き込むことで、異物を気管の外に出そうとする反射運動が起こりますが、高齢になるとこの反射機能も弱まってくるため、気管の中にとどまった食物や、そこに含まれる唾液から肺に細菌が感染し、肺炎を起こす可能性が高まります。


この嚥下機能の低下は、脳梗塞など脳血管疾患障害を抱える方や、食道や胃を手術した後に起こりやすいと言われます。


在宅介護で食事の用意をする家族は、この「誤嚥性肺炎」について、ある程度の知識を持っておく必要があります。

自宅で食事を出す場合は、食べ物の大きさやかたまりに注意し、食べやすくするための工夫が必要になります。


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具体的には、食材を小さめに切るほか、「やわらかく煮る」「とろみをつける」「切り込みを入れる」などして、一口のサイズを食べやすいよう調整していきます。

ただし、「とにかくやわらかければいい」「小さく切ればよい」、というものでもありません。


いつもやわらかいものばかり食べていると、咀嚼する力が衰えてきますし、みじん切りなどで食材をあまりに細かくすると、かえって誤嚥の危険が高まる場合もあります。

食べ物が入れ歯に挟まりやすくなるため、口内菌や歯周病菌の増加にもつながります。

とりわけ在宅で認知症の方を介護する場合、咀嚼をきちんと行わず食べ物をすぐに飲み込みがちなため、その点注意が必要です。


食事にとろみをつけると液体よりも喉を通過する速度が遅くなるため、誤嚥の危険を減らすのに役立ちます。

とろみをつけるための「とろみ剤」も市販されているので、必要に応じてこれを利用するのも手です。


介護食のはなし【PDF】(日本臨床内科医会)


ただし安全だからといって、いつもいつもとろみ食品というのは、本人の生活の質の面から問題でしょう。

介護される者にとって言うまでもなく、食事は一日の大きなイベントであり、生きる楽しみのひとつなのですから、メニューのみならず、食感や食べ応えの面からの変化をつけていく心づかいを、いつも持ちたいものです。


また「とろみのついた食品」といっても、ドレッシング状からマヨネーズ状のやや強めのものまで、とろみ加減もいろいろあります。

本人にとってどれくらいのとろみ加減がいいのかという問題がありますし、あるいはとろみをつけることによって、食べ物の味が変わってしまうケースもあります。


必要なのは、しゃくし定規に考えることではなく、「要介護者においしく食べてもらうための介護食」についての想像力を働かせ、なおかつ食事行為の安全性にも気を配っていくという、ある種の「バランス感覚」です。


介護施設や医療機関で嚥下訓練がされているので、介護サービスの利用時をとらえて彼ら専門家の意見を聞いたり、「在宅訪問栄養指導」制度を利用(介護保険が使えます)して管理栄養士に相談するなど、少しづつ知識をたくわえていきましょう。


訪問栄養Q&A(訪栄研)


次の記事は「介護技術の向上や居住環境の整備が、在宅介護の全てじゃない」です。

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