在宅介護にのぞむ気持ちを楽にする、ちょっとした気づき(1)
在宅介護にあたり家族として知っておくべき知識や注意すべきことなどは、それこそ山のようにあります。
しかし、介護する側もされる側もおなじ生身の人間同士、いくら事前に周到な準備をしたところで、そうそう思い描いていたとおりに事が運ぶはずもありません。
また長年一緒に過ごした家族として、要介護者のことを誰よりもわかっていたはずなのに、予想だにしない事態や思いもよらぬ本人の行動に遭遇して、すっかり今後の介護に自信を失ってしまったり、あるいは精神的に打ちのめされてしまうことなども、決して珍しくないのです。
本人の尊厳を大切にしつつ、介護に追われる自分自身のプライドをも守ろうとする日々の連続は、まじめに取り組むほど大変なエネルギーを消耗することになります。
ここでは、ひとつとして同じかたちのない「在宅介護の風景」においていくつか心に留めておきたい、いわば「骨太の方針」を提案しておきます。
(1)在宅介護だからといって、すべて身内で抱え込もう・解決しようとしない。
外部に何人かの「良きパートナー(協力者)」を持つようにすること。
一緒に暮らしている場合はもちろんのこと、遠距離介護ならばなおさら、外部者の力を上手に利用できるような協力体制をつくることが必須です。
ケアマネジャー・ホームヘルパー・地域包括支援センターの担当者らとの連携を密にするのはもちろんのこと、日頃の介護する側の苦労やちょっとした悩みをグチとしてこぼしあったりできるような「介護者同士の情報交換の場」があると、精神的な負担がずいぶんと和らぐものです。
お住まいの地域に同じ悩みを持った「介護者の家族の会」的なものや、あるいはNPO等が主催する支援グループなどがないかを探して、早い段階から積極的に参加してみるとよいでしょう。
(2)自分が神経質・あるいは几帳面な性格だと思う人ほど、「介護を頑張りすぎないよう」強く意識することが大切。
決して100点を目指さない、むしろ「少しずぼらに、手を抜きながらやってもいいんだ」と考えること。
在宅介護 現状の問題解決には、家族の覚悟・ゆとり・工夫が必須 でも記したとおり、長丁場の在宅介護生活を考えれば、介護する側が先にまいってしまっては何にもなりません。
別の言い方をすれば、「要介護者本人の満足のみを、介護の絶対的基準に置かない」ことが大切です。
割合で言うと、要介護者の満足度は6とか7、そして介護する自分たちの満足度は3か4くらいになるように、バランスをうまく調整するのです。
どちらかに片よることなく、エネルギーを両方に配分していかなくてはならないものなのだと、はじめから腹をくくるのがよいでしょう。
在宅介護で完璧主義をつらぬこうとするのは、自分そして要介護者をも精神的に追い込んでしまいかねない、ある意味大変危ない状態であることを、よく自覚しておきたいものです。
(3)本人とのコミュニケーションの取り方で、家族のそして自分なりの「基本的なルール(約束事)」を決めておくこと。
たとえば「毎日一度は本人を笑わせるような会話をする」「本人が何度同じ話を繰り返しても、いつもはじめて聞くような気持ちで聞く」「悲しかったり腹がたったときは、”もし、自分がいま本人の状態だったらどう思うか”を想像してみる」など、自分なりの取り決めをいくつか持っておくとよいでしょう。
もちろんこういった自分ルールも、厳密に考えすぎるのは禁物です。
あくまで大まかな方針としてゆるやかに置き、続かなかったり無理を感じるような自分ルールなら、やり易いように変更するかさっぱりと捨て去ってしまうことです。
いろいろと想定外のことが起きる在宅介護の日々ですから、ときには守れない日があるくらいでちょうどよいし、「今日はできなかったが、明日はやろう」というゆるやかな運用のほうが、むしろ長続きするものです。
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