在宅介護にのぞむ気持ちを楽にする、ちょっとした気づき(2)


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在宅介護にのぞむ気持ちを楽にする、ちょっとした気づき(1) からの続きです。


(4)日々の在宅介護が少しでも楽になるよう、要介護者の自宅の生活環境の整備・改善をはかっていくこと。

こちらについては、高齢者の住まいの見直し~在宅介護がしやすい居住環境をつくる もご参照ください。


ただし在宅介護が始まる以前に、先々よかれと思って自宅のバリアフリー化の改築などをあまり先行しすぎると、いざ実際の介護生活がスタートしたときにまったく役にたたなかったり、かえって逆効果になることもあるので、そこは気をつけたいものです。


たとえば階段の手すりを左側につけてみたが、要介護者の左半身のマヒのために手すりを右側にも追加することになった。

階段の左右に手すりを設けるスペースが無いために、せっかくつけた左側の手すりは外すハメになった・・・など、予期せぬ事情のためにそのときでなければとれないような対応も、たくさん出てくるはずです。


このような意味で、介護のための環境整備は「走りながら考える」ような面が確かにありますが、しかし細かい改善点を少しずつつけ加えていくことで、介護者も要介護者も、日々の動作・生活面がぐっとスムーズになるものです。

改築・改修において無駄な出費を避けるためにも、日頃から生活の不都合や不便な点を思いついたときにノートにメモしておくと、後でいざ介護保険を利用して住宅改修を・・・となったときはスムーズに動きやすいでしょう。


(5)日頃から、将来の状況変化に備えての情報収集に努めたい。ただし情報収集のための時間は、かけすぎないようにすること。

国が「施設から在宅へ」と懸命に政策的転換を促しているにもかかわらず、在宅介護を続けたまま住み慣れた自宅で一生を終える高齢者はいまだに少数派です。

入院後そのまま病院で亡くなったり、あるいは施設介護に移行しそのまま施設で看取られる方が、まだ大半を占めているのが現実です。


したがって在宅介護は、現実にどうなるかはともかく、将来の施設介護への移行をつねに考えながら行う必要があります。

そのため、よい介護施設を手持ちの選択肢から選ぶため、さまざまな情報収集が必要なのですが、介護を続けながらこれを行うのはなかなか大変なことです。


先に述べたような外部者の力や情報網などを利用しつつ、インターネット検索やメールによる情報交換も活用して、空き時間を少しでも効率的に使うよう工夫したいものです。

そして貴重な時間の余裕ができたときは、際限なく介護のことを考え続けるよりも、思い切って介護者自身の休息や気分転換に充てるようにしましょう。


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(6)主な介護者は、自分の介護のやり方について家族の理解と同意を得るようにするだけでなく、彼らにも家族の一員としてそれなりに介護に参加してもらうよう、日頃からメッセージしておく(時には要請する)こと。

介護は長男夫婦がするのが当然・・・と離れて暮らす兄弟姉妹に思われ、当人もまたそのつもりで全責任を背負って在宅介護をはじめてみたものの、疲れ果て続けられなくなった段階ではじめて事のてんまつを家族全員が知ることになり、兄弟関係もすっかり険悪に・・・といった話が珍しくありません。


主介護者にすべてを丸投げする側にも問題がありますが、在宅介護生活の現状を兄弟にまったく伝えない主介護者の姿勢にも、問題をこじらせる原因はあります。


離れて暮らす身内にも、機会をみて現状の困難さや状況の変化をこまめに伝え、たとえば1~2日間介護を代わってもらうなどの機会をこちらから動いて作ることによって、介護に参加してもらうようにしましょう。

これによって、彼ら自身が持っているに違いない「心理的な後ろめたさ」を軽くすることにもつながりますし、関係者全員が介護への参加意識を共有することにもなります。


したがってこのような依頼を遠慮する必要はありませんが、主介護者の立場から相手の都合も考えず、一方的に介護への参加を強要するような姿勢では、関係の悪化につながりかねません。

言うべきことはきちんと意思表示しながらも、相手の立場を思いやる心の余裕もなるべく持つようにしたいものです。


(7)いつの日か訪れる、「介護生活が終了した後の、自分たちの生活と人生」について、時どき考えてみること。

最後に、これから在宅介護を考える方がなかなか思いがいたらない、しかしとても大切なことをひとつ指摘しておきます。


どんなに献身的な介護を続けても、その日常にピリオドが打たれる日は、いつか必ずやってきます。

介護生活は、何か新しいものを創造するときのように、日々の努力の末に達成感を得られる類のものではありません。


懸命な在宅介護の連続によって身も心も燃え尽きてしまい、介護者が自分を見つめる時間的余裕を取り戻したときは、あたかも生きがいを失ったように「これからどうしよう…」と放心状態になっている方も、残念ながら少なくないのです。


介護を受けて旅立った側としても、世話になった方がこのような気持ちになってしまうことは、決して望むところではないでしょう。


だからこそ、在宅介護の日々の中に、介護者自身が気持ちの余裕を取り戻せるような時間や、自分のこれからについて思いをめぐらせるような時間を無理をしても作っていくことの大切さは、心に留めておきたいものです。


次の記事は「家族の在宅介護上の負担と、その減らし方」です。

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